玉手箱のその先に
ドタドタドタドタ!!
階段の駆け上がる音が聞こえてくる。
僕の家は3階建て。あの足音は母親だろうか。
音がだんだん大きくなっていく、僕の部屋に来るようだ。
バタン!!
あんた家燃やすんやったらタバコ吸わんといてyo!!!!
突然の母親の発言に僕はキョトンとしていた。
へ?
ええからはyo下行って!真っ白やで!!
母はラッパーではない。
ハッとなり慌てた母につられ僕も慌てながら階段を駆け下りる。
僕の家で指定されている喫煙所は一階なので向かうは一階。
バタン!
まさに真っ白だった。
どうやら僕のタバコがしっかりと消えていなかったみたいでフィルターから燃えだしたらしい。
真っ白で何もみえない。完全にやった、と思った。やってしまったと。
これで僕のタバコ人生は終わり。僕の大学だって今年から全面禁煙になるらしいしとことんタバコ運がないなと思うよ。
そんなことを思いながら立ちすくんでいたら煙が少しずつ外に逃げて周りが見えるようになってきた。
そしたら目の前に怖い父親の顔があった。
どうやら僕が玉手箱を開けた未来は怖い顔をした父に遭遇するらしい。
おったんや。。。
完全にどつかれると思った。何故ならば一階は父親の仕事場だしそこがまさかの真っ白。
完全に終わったと思っていたが、父親の器は驚くほど広かった。
ちょっとファブリーズ買ってくるわ。
ファブリーズに対しての信頼がすごい。この瞬間に僕も、ファブリーズみたいに信頼してもらえるような男になろうと心に誓った。
そんなこんなで一命を取り留めた僕だった。
僕はたばこに火をつけた。どつかれた。